5.3. インストールプロセスのトラブルシューティング

5.3.1. フロッピーディスクの信頼性

初めて Debian をインストールする人がつまづく最大の問題は、 フロッピーディスクの信頼性だと思います。

特にブートフロッピーが最も問題になるようです。 これは Linux が起動する前に、ハードウェアから直接読み込まれるからでしょう。 ハードウェアは Linux のフロッピーディスクドライバほど 信頼性の高い方法で読み込みを行ってくれないことが多く、 正しくないデータに当たると、 エラーメッセージも表示せずに単に止まってしまいます。 ドライバフロッピーで問題が起きることもあるようで、 この場合は大抵、ディスク I/O エラーに関するメッセージが大量に表示されます。

インストールが特定のフロッピーで停止してしまう場合は、 まずフロッピーディスクのイメージをダウンロードし直して、 それを 別の フロッピーに書き直してみることです。 古いフロッピーをフォーマットし直すだけでは充分ではありません (そのフロッピーのフォーマットと書き込み時にエラーが出なかったとしても、です)。 フロッピーを別のシステムで書き込んでみると、 うまくいくこともあるようです。

あるユーザの報告によると、イメージのフロッピーへの書き込みを 3 回やり直さないと、 うまく動くようにならなかったそうです。 その 3 番目のフロッピーでは、何も問題なくいったそうです。

また別のユーザからの報告では、 同じフロッピーをドライブに入れたまま数回再起動を繰り返すだけで、 うまく起動したのだそうです。 これはハードウェアかファームウェアのフロッピードライバの できが悪かったためでしょう。

5.3.2. 起動設定

ブートプロセスの最中にカーネルがハングしたり、 搭載されている周辺機器やドライブが正確に認識されないなどの問題が起こったら、 まず 項5.2. 「ブートパラメータ」 の説明に従って ブートパラメータを確認してください。

インストーラから与えられたカーネルではなく、 自分で作ったカーネルから起動した場合は、 CONFIG_DEVFS が設定されていることを確認してください。 このインストーラには CONFIG_DEVFS が必要です。

また、増設カードや周辺機器を取り外して再起動してみると、 このような問題が解決できることもよくあります。

しかし、私たちの起動フロッピーも、 サポートしているハードウェアには限りがあります。 Linux がサポートしているプラットフォームでも、 このブートフロッピーが直接サポートしていないことはあるでしょう。 この場合は、ブートディスクを自分で作る (??? を参照) か、 ネットワークインストールを調べるかする必要があります。

マシンにメモリがたくさん (512M 以上) 積まれていて、 インストーラがカーネルの起動時にハングする場合は、 mem=512m のようなブート引き数を使って、 カーネルが扱うメモリの量を制限する必要があるかもしれません。

5.3.3. カーネルの起動時メッセージの意味

ブートシーケンスの途中で、 can't find something (〜が見つからない), something not present (〜が存在しない), can't initialize something (〜を初期化できない), this driver release depends on something (このドライバには〜が必要だ) などのメッセージがたくさん出力されることがあります。 これらのメッセージのほとんどは無害です。 これらが出力される理由は、インストールシステムのカーネルが、 いろいろな周辺デバイスのできるだけ多くに対応しようとしているからです。 そのため、OS が実際には存在しない周辺機器を探すことになるので、 文句を吐くわけです。 システムがしばらく止まったように見えることもあります。 これはデバイスが反応するのを待っているために起こるものです (実際にはそのデバイスは存在しないので、止まってみえるわけです)。 システムの起動に要する時間が堪えがたいほど長い場合は、 後で自前のカーネルを作ることもできます (項8.4. 「新しいカーネルのコンパイル」 参照)。

5.3.4. バグレポータ

最初の起動段階は通過したのに、インストールが完了できなかった場合は、 バグリポータメニューを選択するといいかもしれません。 これはユーザのフロッピーに、システムのエラーログや設定情報をコピーします。 この情報は、何が間違っていてどのように修正するか、 といった手がかりを示しているかもしれません。 バグ報告を送る際に、バグ報告にこの情報を付けることができます。

その他のインストールメッセージは、インストール中では /target/var/log/debian-installer/ で、 インストールしたシステムが起動した後では /var/log/debian-installer/ で見つかるでしょう。

5.3.5. バグ報告の送信

まだ何か問題がある場合は、バグ報告を送ってください。 宛に電子メールで送ってください。 その電子メールの先頭には、 必ず 以下の記述を付け加えてください。


Package: installation-reports
Version: version

version のところに、 利用した debian-installer のバージョンを書くのを忘れないようにしてください。 バージョンはそのインストールメディアの boot: で、 F1 キーを押すとわかりますし、 CD の販売元でもわかります。

バグ報告には以下のような情報も添えてください。 報告を送る際に reportbug プログラムを使用すると、 自動的にこの情報を追加してくれます。




architecture:  mips 
model:         ハードウェアのメーカーやモデル名
memory:        RAM の量
scsi:          (あれば) SCSI ホストアダプタ
cd-rom:        CD-ROM のモデル名とインターフェースの種類 (ATAPI 等)
network card:  (あれば) ネットワークインターフェースカード
pcmcia:        PCMCIA デバイスの詳細

問題の性質にもよりますが、 インストール先のディスクが IDE ディスクなのか SCSI ディスクなのか、 さらにオーディオのような他の周辺機器、 ディスク容量、ビデオカードのモデル名などの情報を 書き添えることも有益でしょう。

バグ報告の際には、 カーネルがハングした直前に表示されたカーネルメッセージを添えて、 何が問題なのかを説明してください。 また、問題が起きるまでにシステムに対して行ったことも記述してください。